長尾文雄と・在り方の実験室
リビングワールドの西村佳哲が、個人的な勉強を兼ね、非営利目的で企画・開催したワークショップの情報です。
このプログラムは、友人の大滝あやさん(Tao舎)と準備したもので、リビングワールドのプロジェクトではありません。
ワークショップの報告:(開催告知文は下部参照)
どんな三日間だったか?
関東・関西から12名の参加者が集合。
教育や社会福祉などの場で、ワークショップの企画や実践に関わっている人が大半。集まった動機は、「非構成という言葉に惹かれて」「長尾さんや企画者の名前にのって」「在り方というテーマで」など、いろいろ。
冒頭、長尾さんから、Tグループ・トレーナーの研修プログラムを構造として用いてみないか、との提案が示される。
非構成のグループセッションを1時間行ったあと、同じく1時間、そのセッションの動きについてふり返りを持つというもの。
これを一日に三セット行い、きりのいいところに全員参加のスタッフミーティングをはさむ形で進んだ。つまり、
・非構成なグループセッション
・ふりかえり(フィードバック)
・スタッフミーティング
の三つの場面(+その他の自由時間)で動いてゆく場となった。
二日目のスタッフミーティングで、それまでファシリテーターとして関わっていた長尾さんに、「自分たちと同じく参加者という立場になってみてもらえないか」という提案が示され、やり取りの後、長尾さんがこれに合意。
結果、途中から基本的にはファシリテーター不在で、それぞれが互いに動けるところでファシリテートし合う場となり、長尾さんにも一参加者としてファシリテーターシップを発揮していただいた。
ふりかえりや、グループセッションの進め方についても、スタッフミーティングの場を通じて細かい修正が重ねられ、ふりかえりのないセッションも試された。
三日目の午前中は、前日までの二日間を通じての考えや気づきを、互いに共有。午前いっぱい話し合う時間を持ち、解散した。
感じたこと・考えたこと
先に書いたとおり、今回のワークショップには3縲怩S種類の場があった。あるモードの中では語りにくい言葉が、場面が変わることで口に出され、それに応じて、進め方に微修正が加えられていったと思う。
単にプログラムを体験をするのではなく、参加者自身が、その場の進め方やつくりに関わってゆく。つまり、参加者が参画者になってゆくプロセスを経験できたのが良かった。
ファシリテーターでなく、場の構造がつくる促進性について考えさせられた。
自分にとって忘れがたい体験は、ファシリテーターでいる時もその任から外れてからも、変わることのない長尾さんの存在感の質に触れたこと。自分もそうありたいと思う。
「在り方の実験室」というタイトルのもと、参加者めいめいが自分の在り方を試し・確かめるワークショップであったが、長尾さんご自身が最もそれを実践する結果になったようにも思える。その場をともに過ごし、有り様を体感できたのは得難いことだった。
ここ最近、非構成系のワークショップに興味を持ち、いくつかの試みを重ねている。
非構成に興味を抱いている背景には、「ワークショップはファクトリーではない」という視点もある。
2007年秋には二つの非構成系ワークショップを。また1月にはファシリテーターに松木正さんを招き、非構成的なワークショップを試みる予定。(西村佳哲 07/08/11)
Photo: Nagao, Okada
以下、開催告知文(再掲載)
Tグループ・トレーナー 長尾文雄さんによる
非構成ワークショップ
Laboratory for Presence/在り方の実験室
私たち(大滝あや・西村佳哲)が信頼するファシリテーションの先達は、「小手先の技術ではなく、ファシリテーターの在り方が重要」と言います。
この話を、体験的に掘り下げてみたい。
そこで「あり方」に焦点をあてた非構成のワークショップを、三泊四日・少人数の枠組で、実験的に開催してみようと思います。
ファシリテーターには、Tグループ・トレーナーであり、傾聴・共感をキーワードにした研修なども手がけられている長尾文雄さんをおむかえします。
日時 : 2007年7月2日~5日(三泊四日)
集合 7/2(月)12:30
解散 7/5(木)昼食後13:00頃
場所 : 関西学院大学 千刈キャンプ(屋内セミナールーム)
定員 : 10名
参加費: 48,000円(予価/参加者10名の場合)
※このワークショップは非収益事業です。最終的な参加費は、講師謝礼と必要経費を足した総額を、主催者二名を含む全参加者数で割って算出します。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
◎お申込み方法: *既に終了しています
以下の事項を6/3(日)までにメールでお送りください。
・お名前:
・ご住所:
・連絡用メールアドレス:(複数可)
・連絡用電話番号:
・ご年齢:
・性別:
・お仕事・専攻など:(差し支えのない範囲で結構です)
・お申込みの動機:(必ずご記入願います)
◎お申込み完了までの流れ:
・お申込が定員を超えた場合は、先着順でなく抽選で選考します。
・6/10(日)までに、お申込みの結果と最終的な参加費額をご連絡します。
・その後一週間以内(6/17まで)に、参加費をお振込みください。振込確認をもって、お申込み完了となります。
◎プログラム案・概要:
・期間中の時間の使い方は、相談しながら進めます。
・長尾さんは、大まかな構造として
1)非構成のグループセッション(約60分)
2)グループセッションのふりかえり(約60分)
を1セットとする、一日3セットの進行を考えています。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
◎長尾文雄さんより
このプログラムは、西村さんと大滝さんから問いかけられたことに端を発します。
「いま、ここ」という時と場を共有して、お互いを活かしながら、生きることを探る試みをする。
そして、その試みの場にどのようなプロセスが起こっているのかを、体験され、観察されたデータに基づいて検証することができればと考えています。
参加者の皆さんと、C.ロジャーズの「Presence」(ともに在る)という感覚を探ってみる実験をしてみたいのです。
2007-5-7
※カール・ロジャーズ(Carl Rogers)
1902~1987。アメリカの臨床心理学者。非指示的カウンセリングを提唱し、のちにパーソンセンタードアプローチへ発展。人間研究センターを設立し、非構成なエンカウンターグループの実践、研究に携わった。
by 2007年5月11日