西村佳哲

にしむら よしあき
1964年東京生まれ プランニング・ディレクター、リビングワールド代表、働き方研究家
武蔵野美術大学卒。大手建設会社を経て、つくる・書く・教える、大きく3つの領域に取り組む。開発的な仕事の相談を受けることが多く、30代のものづくり、40代の場づくりに加え、50代以降は、建築計画やまちづくりや組織開発などの仕事が中心的。
2014年から東京と徳島県神山町での二拠点居住を始め、同町の「まちを将来世代につなぐプロジェクト」に一般社団法人 神山つなぐ公社(2016〜)理事として参画。
著書は『自分の仕事をつくる』(晶文社/ちくま文庫)他。最新刊は『一緒に冒険をする』(弘文堂・2018年4月出版予定)。
京都工芸繊維大学や桑沢デザイン研究所、東京都美術館・とびらプロジェクト等で集中講義を担当している。[Mar 4, 2018]
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リビングワールドの前駆にあたる仕事「センソリウム」(1996~98)はオーストリア・Ars Erectronica CenterのPRIX’97|.net部門で金賞を受賞(全体のマネージメントと企画・制作のディレクションを主に担当)。
リビングワールドでの受賞歴は、第24回日本照明賞(2006)、第40回SDA賞優秀賞(2006)、グッドデザイン賞(2007)など。
全国教育系ワークショップフォーラム(2002~04)実行委員長。奈良県立図書情報館「自分の仕事を考える3日間」(2009~11)フォーラム・ディレクター。
著書に『自分の仕事をつくる』(2003 晶文社/ちくま文庫)、『自分をいかして生きる』(2009 ちくま文庫)、『自分の仕事を考える3日間』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(2009,10 弘文堂)、『かかわり方のまなび方』(2010 筑摩書房)、『いま、地方で生きるということ』(2011 ミシマ社)、『わたしのはたらき』(2011 弘文堂)、『なんのための仕事?』(2012 河出書房新社)、『ひとの居場所をつくる』(2013 筑摩書房)など。

最近は小さな会社や組織、ないし地域の相談役的な仕事が増えてきた。働き方研究から、教育・ワークショップ、以前の建築計画の経験を総動員出来るのは嬉しい。[Jun 7, 2012]

Photo: 後藤武浩(ゆかい)

つくる仕事(デザイン・ものづくり)
リビングワールドでは、企業や自治体などクライアントから請ける仕事と、自分たちで企画し製造・販売まで手がけるメーカーポジションの仕事を、約半々の割合で行っている。オリジナルプロダクトの大半は、センスウェアの試み。
→Works(リビングワールド)
個人(西村佳哲)としてかかわるデザインの仕事には、情報デザインや、コミュニケーション・デザイン領域のものが多い。
(2007年以前の個人名義での仕事や、リビングワールド以前の仕事については、備忘録を参照)

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風灯プロトタイプの基盤工作中(2001)

書く仕事(働き方研究など)
最初の著作『自分の仕事をつくる』(2003,2009)は、30代前半に柳宗理さんやパタゴニア社など、尊敬するつくり手を訪ね歩き、彼らの働き方を訊いてまわった探検報告。AXIS誌を中心に、いくつかの雑誌に書いたインタビュー記事がベースになっている。この執筆とセンソリウムでの制作過程は、自分にとって二度目の大学のようなものだったと思う。
自分をいかして生きる』(2009,2011)は六年越しで形になった前著の補稿。この出版以降、働き方をめぐるワークショップをあまり開かなくなった。
自分の仕事を考える3日間』(2009)、『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』(2010)、『わたしのはたらき』(2011)の三冊は、奈良県立図書情報館で開催されたフォーラム「自分の仕事を考える3日間」から生まれた本。なかでも『みんな、どんなふうに…』は、自分のインタビューの仕事で最も好きな一冊。
かかわり方のまなび方』(2011)は、大学における教育活動とその途中から始まったワークショップやファシリテーションをめぐる探検報告。「人の見え方」を中心的課題として扱っている。
いま、地方で生きるということ』(2011)は、ミシマ社・三島邦弘さんのはたらきかけで生まれた一冊(タイトルも三島さん)。2011年3月11日の震災後の東北へのかかわりを一つの戸口に、働いて・生きてゆくことと場所の関係を約二週間の旅の中でさぐった。
なんのための仕事?』(2012)は働き方研究のひとまずの最終刊。デザインを通じて、仕事のあり方を考えた。エフスタイルを始め、5名のデザイナーやつくり手のインタビューを収録することが出来た。

本は読み手が、自分の場所で、本人のペースで再生出来るところがいい。電源不要でどこにでも持ち歩けて、手元の小さなスペースに大きな空間が生まれるところも素晴らしいと思う。

フォーラム「自分の仕事を考える3日間」(奈良・2011)より

教える仕事(授業・ワークショップなど)
「教える」という言い方は正確ではなくて、授業であれワークショップであれ、それらは人が人に「かかわる」仕事だと思っている。
かかわり方は、相手がどう見えているかに最も大きく左右される。そこで『かかわり方のまなび方』では、人間に対する視力の問題を中心的に扱うことになった。
かかわり方という態度的技術の共有として、近年はインタビューをテーマにしたワークショップを年に何度か開催している。
中でも年に2回、夏と冬に開催している5泊6日の インタビューのワークショップ と、橋本久仁彦さんをファシリテーターに招いて実施している 非構成的エンカウンターグループ・7泊8日 の二つは、自分にも掛け替えのない機会。
働き方研究の展開として、企業や組織にかかわる機会が増えてきた。メンバー間の話し合いの機会を第三者の良さを活かしてつくり、時には「きく」態度的技術の一端も伝え、きき合える関係の育成を試みる。
創造的でアイデアが豊富で、血のめぐりのいい組織をつくり出したければ、アイデアマンやプレゼンテーションの上手な人より、ひとの話を「きける」人材が要ると思う。人が「話してみる」ことは、それをちゃんときける人がいることによって成立するので。

あらためてふり返えると、ウェブ「センソリウム」(1996)、本「自分の仕事をつくる」(2003)、フォーラム「自分の仕事を考える3日間」(2009〜11)の三つの仕事が、個人的なエポックとして浮かび上がります。[Jun 7, 2012]

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by 2014年4月9日