ここはどこなんだろう?会議

筑摩書房『ひとの居場所をつくる』の出版をひとつの機会に、福岡という場所の再発見を試みる、約8時間のフォーラムをひらきます。
政治や経済が不安定な時代なので、「これからの仕事や暮らしをどうしてゆこう?」と考えるとき、多くの人がそれをもっぱら政治や経済の切り口で扱いがちではないかと思います。
これは経営の傾いてきた会社で、社員の関心事や会話にのぼる話が事業部の再編とか社内人事であるとか、内向きのものになりやすい事態と似ている。
でもわたしたちは、会社だけで働いているわけでも、政治や経済の枠組みの中だけで生きているわけでもない。
ひとを生かしている世界は、もっと厚く、合理性を越えた営みに溢れているのではないでしょうか。一人で生きているわけでもない。
わたしたちは一体どんなところ、どんな関係性の中で、生きて・営んでいるのか。
それがよく見える目が欲しい!
場所(その土地や社会)を見る視力の獲得を、5名の話者と、集まった約200名で試みたいと思います。
福岡で生まれたひと、移住して間もないひと、遠くから関心を寄せているひとも。わずか半日のプログラムではありますが、迷わず全国からお越しください。
日時 : 2013年11月17日(日)
11:00開場、12:00〜18:50頃
場所 : 九州大学 西新プラザ 福岡市早良区西新 2-16-23
地下鉄 西新駅から徒歩約10分
参加費: 【一般】3,000円(税込)
【学生】1,500円(税込)
定員 : 約200名(先着順)
ファシリテーター: 西村佳哲
企画: 西村佳哲、田北雅裕
主催: 九州大学 田北雅裕研究室

プログラム案:
11:00〜 開場、書店やカフェのオープン
└ 早めにご入場ください
12:00〜12:45 西村佳哲「ひとの居場所をつくる?」
12:45〜14:05 石川 初「わたしたちはどこにいるのか?」
〈休憩〉
14:25〜16:25 後藤太一×田北雅裕「まちをつくる、ということ」
〈休憩〉
16:45〜18:20 田瀬理夫「Living in National Treasures/宝の中で生きる」
18:20〜18:50 クロージング(西村)
なぜこのフォーラムを?
西村佳哲
いつ頃からか、「働き方」という言葉をやや窮屈に感じている自分に気がつくようになりました。
なにをするか?ということも、どうするか?ということも、悩ましさや喜びも、与えられた範囲の中でのそれにすぎないとしたら、その自由は限られている。
本当の自由なんてあるのか、可能なのかといった議論はともかく、少しでもそこへ近づいてみたい気持ちがあるのなら(ある)、自分たちの仕事や営みの基盤を形づくっているものを、道端の石を裏返すようにひとつづつ確かめ直してみたい。
わたしたちの「あり方」は、空気や重力のように存在し作用するそれらに強く規定されているので。
お金ってそもそもなんだっけ? 教育って? 会社って? 時間とは? 言語とは? あるいは、なぜこの国では土地が個人の所有対象になっているんだろう? とか。
知りたいこと、考えられるようでありたいことは無数にあってキリがないのだけど、別に博学になりたいわけじゃない。
「自分はどこにいるのか」ということを知りたい。
11/17にはそれを4名のゲストたちの、地形や水系や植生などの自然、まちや家族や暮らしなど社会を見る視力を借りながら、集まる人々の力も束ねて数時間取り組んでみたいと思うのです。福岡で。
4人のゲストは以下のとおり。以下、西村の所感で書いたプロフィールです。
石川 初(いしかわ はじめ)
1964年、京都生まれ。ランドスケープ・アーキテクト。東京農業大学 造園学科卒業後、鹿島建設、アメリカのHOK社への派遣研修を経て、現在は株式会社ランドスケ-プデザインに勤務。大の地形好き。各種地図・位置データの解析から、土地や人のありさまを読み解くのが得意。GPSの軌跡で地図上に絵を描く「地上絵師」としての活躍も。近著に『ランドスケール・ブック ― 地上へのまなざし』(LIXIL出版)がある。
後藤太一(ごとう たいち)
1969年、東京生まれ。東京大学 都市工学科卒。カリフォルニア大学バークレー校 都市地域計画学科修了。鹿島建設、ポートランドの都市圏成長管理局などを経験。99年から福岡にかかわり始め、現在は福岡地域戦略推進協議会事務局長。東京・ロンドン・ニューヨークのような世界都市ではない「暮らしの質」を基盤にしたまちのプランニングや、そのような都市におけるキーパーソンとのつながりに強く、福岡の可能性ないし残念さを、国際的な視野をもって紹介できる人物。
田北雅裕(たきた まさひろ)
1975年、熊本市生まれ。まちづくりプランナー。九州芸術工科大学大学院を経て2004年に熊本県杖立温泉街へ移住。大学と協働で「杖立ラボ」を設立し、住民の立場からまちづくりに取り組む。2009年より九州大学大学院に着任し、人間環境学研究院 教育学部門 教育社会計画学講師として、学生とさまざまなプロジェクトを手がけている。まちづくりを特定の専門領域でなく、各領域や主体、求めや困り事のあいだをつなぐ仕事として捉えている分野横断型の働き者。
田瀬理夫(たせ みちお)
1949年、東京生まれ。ランドスケープ・デザイナーとして紹介されることが多いが、本人の自称は造園家。千葉大学園 芸学部造園学科卒業後、富士植木勤務を経て、77年にワークショップ・プランタゴを開設。代表作の一つは「アクロス福岡」南面のステップガーデン(同建築は1995年の竣工時酷評に晒されたが、数年後には建築業協会賞や都市景観賞のほか「生物多様性保全につながる企業の緑100選」などにも選出されてきた)。
また設計業務のかたわら十数年前から、岩手県遠野市の中山間部に「クイーンズメドゥ・カントリーハウス」という空間拠点をつくり、馬を軸に据えた生業の実験的な実践を仲間たちと重ねている。
西村佳哲(にしむら よしあき)
1964年、東京生まれ。武蔵野美術大学卒。建築分野を経て、「つくる」「書く」「教える」3種類の仕事に携わる。コミュニケーション・デザインの企画立案とプロジェクトチームづくり、ディレクションを担うことが多い。働き方研究家としての著書に『自分の仕事をつくる』(ちくま文庫)など。近著は田瀬理夫さんのインタビューを軸に書いた『ひとの居場所をつくる』(筑摩書房)。
田北雅裕たちと本フォーラムを企画。当日はファシリテーターをつとめる。
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◎お申込み方法:
>お申込みフォーム(別サイト)で、ご入力ください。
*事前申込は14日夜に〆切ました。当日のご入場(約30名少々・料金は同じ)は、17日(日)11時から現地で受け付けます。早めにお越しください。参加費は同じく、一般:3,000円/学生:1,500円。釣銭が要らないようにご用意いただけると幸いです。(11/15)
*参加費は申込時払いです。お支払い方法は、クレジットカード/コンビニ/ATMから選択。PeaTiXというサービスのアカウント作成が必要。
*0歳から小学校入学前までのお子様の、託児サービスを検討しています。 ←保育士さんとの出会いに恵まれず、今回は残念ながら断念します(10/30)
*車椅子でのご入場も可能です。所定欄にご記入ください。介添えや筆談などの補助についてはご自分で手配願います。
*施設に駐車場はありません。公共の交通機関でお越しください。
お問い合せ: lab@local-design.org(九大・田北研究室)
*九州大学大学院 田北雅裕研究室の、フォーラム準備メンバーが応答します。返信に2〜3日要する場合もあるので、余裕を持ってお問い合わせください。
by 2013年10月2日