ツバメが渡るまで

今年も永福町駅で雛を孵した、ツバメの夫婦。
彼らは昨年のペアなのか、それともその子どもなのか?
巣立った後どこへゆくのか?
ツバメは身近な鳥(ほんとうに近い…こんなに近づいていいんですか。東京でガラパコス諸島気分)だけど、知らないことだらけ。少し調べてみました。

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目もバッチリ開いた。巣立ちまであとわずか。

永福町駅の雛はたぶん4羽。卵が孵るまで約2週間(短い!)。巣立ちまで約3週間。…ということは、あと数日で巣立ちが始まる。電線に親子で並ぶ姿が見れるんだな。
約半数のつがいが、雛が巣立ったあともう一度卵を産んで2番子を育てるらしい。
巣立ったツバメはどこへ?
昨年、関西の友人から「奈良平城京跡のツバメのねぐらがすごいで」という便りをもらいました。その時は「全国からそこに!?」と一瞬クラクラしたけど、そんなわけないですね。
彼らは河川敷などのヨシ原に集まり、数千羽の「ねぐら」をつくる。そこで北に戻るまで暮らす。
たとえば多摩川流域のねぐらは、こんな感じで分布している様子。(2003年調査)

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多摩川流域ツバメ集団ねぐら調査連絡会のホームページより。 拡大図
ただし、ねぐらの場所は移っている可能性大。すごい数の小鳥たちのねぐらと化している街路樹、たまにありますよね。あれ、何を根拠に選ばれているのかわからない…と野鳥の会の人が話していました。

永福町駅の彼らがどのねぐらに合流するのか分からないけど、距離的には二子玉川上流左岸が気になる。
多摩川上河原堰(調布の南)での観察映像があった。

ねぐらは7月下旬から8月頃、最大化する様子。
昼の仕事(捕食)にはげんでいたツバメたちは、夕方薄暗くなりはじめた頃に戻り「ねぐら入り」する。この時間帯が、先の映像のような見どころ。
中央高速の談合坂SAもすごいみたい。

そして8月から台湾やマレー半島へ戻ってゆく。鴨や雁のように編隊は組まず、一羽づつ飛んでゆくらしい。
「おれ今夜いくわ」。
なんて感じなんでしょうか。(バカですね人間は。なんでも擬人化して…)

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八王子・日野カワセミ会のホームページより。このサイトの「ツバメQ&A」からも沢山勉強させてもらいました。手書きの観察画がいい。:-)

アジアへ帰る道中の、大事な中継地点が沖縄。
沖縄の島々では、年間を通じて鳥の90%が渡り鳥だというから面白い。みんなトランジット中。
 
ところで、毎年戻ってくるのは同じペアなのか?
一羽で渡るということは、繁殖時のみペアで、その他は個体行動なのか?
いや、オスがメスより数日前に渡来することが多い、という観察記録があるので、来日前に既にペアになっている可能性があります。どこで?
10年間生存を観察できた個体もいるけど、自然平均年齢は1.5年ぐらい。ある調査によると、日本にまた戻ってくるツバメは全体の約20%だそう。
…同じペアじゃなくてもいいじゃない、という気がしてきた。つい、人間の夫婦観で考えてしまいがちな自分がいます。彼らはただ生きている。「愛」とか「夫婦」とか、そういう概念は最初からない。

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でも、お父さんと同じほう向きます。

LW

by 2008/6/12