一点モノの砂時計、その後

昨年末に大阪で開催したワークショップ、「自分だけの砂時計〝In this time: 〟をつくる」。
震災で製作が止まった時期もありましたが、先月全18点が完成。今月から各作者にお届けしています。

樹種も、砂も、時間も、内容もすべて一点づつ違う砂時計をこれだけ同時につくるのは初めてのことで、間違えないように一苦労だった。
…にしても、時間がかかり過ぎです。
これに懲りて同じようなイベントはもうしないだろうと思いつつ、出来上がった品々を見直していると「いいな!」と思えるものが多い。
その一部を紹介させてください。

芝本さんがつくったのは、「寝る前の読書の時間」の砂時計。時間は4分52秒(なぜ?)。面白い!
ベッドまわりでは他に「目を覚ます時間」というアイデアもありました。「砂が全部落ちるまでに起き上がる」という心意気でしょうか。それぞれ、それにどんな長さの時間を与えるか…という部分に、ご本人なりの何かがあるんですね。
これは、以前わたしたちも「つくってみようかな」と思ったことのある、ライト兄弟の初フライトの砂時計。

わたしたちがとくに感激しているのは、折れた二つの面をつづいている木目です。旭川で防腐剤や接着剤を使わない家具づくりをしている、国本さんの仕事(化学物質過敏症の方々のための家具をつくっている)。彼が「どう?」と微笑んでいる様子が浮かぶ。
いつもありがとうございます!…と同時に少し羨ましい。いいなあ。作者である中西さんの手元に、もうお届け済みです。
駒倉さんの砂時計は「I think」。5分5秒。へー! 判断はすべて5分少々で。

 
伊藤さんの砂時計は「コザクラインコの1時間(In this time: Lovebird feel an hour)」。
インコと人間の寿命のスケールを合わせてみると、彼らの中で流れている時間の早さというか希少さが、数字になる。

少し大きめの砂時計。時間は約9分です。

最後にもう一人。
益田さんの砂時計は、ある思い出の時間のそれ。その時に撮っていた写真の時刻から算出。追って天文台で調べてもらったところ、ほぼ正確でした。すごい。
日の出に要する時間は、緯度経度・日時によって変わります。たとえば北極や南極圏では、とても長い時間をかけて太陽が姿をあらわす。

5つの砂時計をご紹介しました。
参加してくださった他のみなさんも、ありがとうございます。私たちも、いつもと違う木と砂の組合せや、個々のアイデアが楽しかった。
職人さんたちにも、お礼を伝えています。
 

by 2011/7/24