エクスチェンジ:お金って?

1円玉が、1グラムのアルミニウムで出来ていること。つくるのに1円以上のコスト(2~3円)がかかっていることは、よく知られています。

では、合金になる前の10円玉は?
50円と100円玉の違いは?

08_exchange_04.jpg

現在日本で使われている6種類の硬貨(上)について、合金になる前の金属片を、それぞれの分量でつくってみたものがこれ(下)。

08_exchange_03.jpg

シートに各硬貨の内容を記載。読み込むと発見がある。

お財布の中の 1・5・10・50・100・500円を、これと交換しませんか?
 
というのが「EXCHANGE」。ICCで開催された「信用ゲーム展」(2001)に、リビングワールドの西村佳哲が出品した作品、というか経験というか交換でした。
 
ICCカウンターに仮設の両替窓口をつくり、そこで交換した。スタッフの女性たちが楽しそう(映像)。

先日、仕事場を整理していたらストックが少し出てきたので、全硬貨・666円相当一式/限定50セットで、お望みの方と「交換」します。:-)
交換方法はこの記事の末尾を参照。
 
信用ゲーム展および「お金」について少々。
桝山寛というゲスト・キュレーターによる展覧会。お金をめぐる絵本形式のカタログが、なんだか勉強になった。
最初の打合せで、桝山さんは英国の1ポンド札を見せてくれました。

08_exchange_01.jpg

「イングランド銀行とエリザベス女王が『£1の支払いを約束します(I promise to pay the bearer on demand the sum of…)』って書いるでしょ。これを£1と見なすという約束が印刷された〈紙〉なんだよね、これは。
 お金とは信用、つまり文字通り『クレジット』であって、いわば大きなゲームなんだと思う」(桝山談)
たまたま財布に入っていたインド紙幣を見ると、これも同じく。

08_exchange_02.jpg

さすが多民族国家。十数種類の言語で記述されているが。

私たちがきわめて自然に、日々なに気なく使っている「お金」が実によくデザインされた人工物であること。またそこにかけられている魔法が、こんな部分からすこし見えてくる。
「お金ってそもそもなんだろう?」という虚をつく活動として、J・S・G・ボッグスというアーティストの仕事も刺激的です。ユーロスペースから「マネーマン」というビデオが出ている。(これは余談)
信用ゲーム展には、リビングワールドでなく西村佳哲・個人として参加。「EXCHANGE」の他にもうひとつ、「Power of Yen」という1円相当の電力を体験化する装置もつくりました。

ものごとのありのままを、別のかたちで共有しようとする指向性は、リビングワールドのそれと変わらないなと思う。
遊びのような蔵出しアイテムですが、交換してみたい人、ささやかなウンチク話を楽しんでみたい方。どうぞお申込みください。
もちろん、もうつくりません。
 
(*交換は終了いたしました。2011.9)
 
EXCHANGE/エクスチェンジ
・金属プレート各種(1・5・10・50・100・500円分の6袋)
 金属片のみで25.05g
・小さな読み物付き
・制作協力:坂倉杏介・円城寺 琢

by 2008/12/20