西表島の音(LIVE)

Living nature sounds from Iriomote Is.

西表島(1997〜, stereo feeding 2007〜)

西表島・北部の森の木に、一本のマイクが取り付けてあり、そのライブの音を聴くことができます。
→サウンドバム|西表島ライブページ *New URL

これはLWの西村佳哲が、大内範行らとサウンドエクスプローラというプロジェクトで、約10年前に設置したもの(ことの次第の一部はサウンドバムが始まるまでを参照)。現在は、リビングワールドと小林博樹が共同で運用しています。

ADSLが開通したので、先月システムを更新。CDクオリティの音にバージョンアップしました。
季節の移り変わり、遠い島の夜、カエルの鳴き声、目を覚ます朝の鳥、迫り来る台風などお楽しみください。:-)

*9縲怩S月は北寄りの季節風が吹くため、潮騒の暗騒音が強くなります。夏場は風裏になり穏やか。
*上原港に船が着く時間は、エンジン音がうるさいかも。 時刻表

設置当初は、NTT通信施設のある山に設置していたが、数年前から上原地区に近い森の中に移動。Photo:Hiroki Kobayashi
離れて見ると、マイクのある場所はこんな感じ。集落には近いので、風向きで、人々の暮らしの音が聴こえることがあります。Photo:Hiroki Kobayashi
浜辺にも近く、波が高い日はリーフの潮騒がずっとうなっています。夏場は台風接近時をのぞき、比較的おだやか。Photo:Yoshinobu Takagi(いちばん上の写真も)

以下、余談です。

森にマイクを設置しながら交わしているバカ話を、東京のチームが、オフィスで笑いながらインターネット越しに聴いている。1997年の春、西表島のライブ音はそんなふうに始まりました。

その約三年後、MSN・NTTによるウェブサイト「サウンドエクスプローラー」の終了とともに、パリ・シャンゼリゼ、ロサンジェルスの山奥、東京・下北沢駅、伊豆・下田の海の中、北海道の牧場などに設置されていた他のライブマイクは、軒並み終了。

でも西表島のマイクだけは、いろいろな幸運が重なって、なぜかつづいているんです。

やめるタイミングを逸して10年目…という見方もできます。プロジェクトの終わらせ方をわかっていなかったという側面は、正直あるかも。
でも一度流れはじめたライブの音、24時間・365日、毎日つづいている森の音を止めるということが、どうもイメージできなかったという方が大きいかもしれない。

このプロジェクトはお金は生みません。幸い様々な協力を得て費用は必要最低限におさえられていますが、小林博樹はほぼ毎年西表島に通っており、相当なエネルギーを投入しています。

そう、この音は、小林さんあってのものなんです。

アラスカで雪原の音を聴く小林博樹と西村佳哲。(2000)Photo:Jyunichiro Watabe

サウンドエクスプローラを始めて間もない頃、「野外で音を録りたい。いい機材があったら教えてもらえませんか?」というメールをもらったのが、小林さんとの出会い。

彼はカリフォルニア州立大学に留学して、コンピュータサイエンスを学んでいました。その後、アラスカで初めて顔をあわせて。毎晩オーロラを見ながら、意気投合して…。

いま彼は、東京大学の大学院で研究をつづけています。
なんと、西表島のライブマイク運用のノウハウを活かして「組み込み型Linuxを用いたイリオモテヤマネコ観察手法の開発(リンク先はアメリカ音響学会誌)」という研究論文を発表。
同大学院工学系の優れた研究のひとつに選ばれ、先日記者会見も行った様子。

彼にとって西表島はもはや第二の故郷で、システム更新の旅には、里帰りのような雰囲気が。小耳にはさんだところによると、集落の会議にも出席しているみたいで。なんかスゴイな…。

このライブフィードは、彼が投入してきた時間のたまものです。
僕らは早朝の鳥たちの声、そして夏の夜のカエルが大好き。夏にはアカショウビンも渡ってきます。
(西村佳哲)

 
プロデュース: リビングワールド、小林博樹
システム設計・構築: 小林博樹

サウンド監修: 川崎義博(NADI)
ロケーション協力: 藤田マキ子(西表わいるどふぁー夢)
システム協力: NTT西日本沖縄支店、IMS.JP、COSMOSMILE

Special thanks to:
大内範行、萩野勝紀、武末裕一郎、宮崎光弘、岡村祐介、平井あおい、鈴木秀樹、櫻井智明、堀本正文、玉盛雅通、高屋典子、ほか多数

「メディアの足し算・引き算」展(ICC)での西表島ライブ音の展示(1999)

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by LW 2007/5/15

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