
ボイジャーのことを
今年の夏、7/9からgraf(大阪)で graf mouth のメンバーと一緒に、久しぶりの展覧会をつくります。「grafとLWの夏休みの自由研究」の発表、という感じ。
それで最近「太陽」について勉強しているのですが、その中でボイジャーと再会。思わず書いています。
ボイジャー(Voyager)はNASAが打ち上げた二機の衛星による、太陽系とその外の世界の探査計画。この計画はいつ頃始まったんだろう。打ち上げられたのは1号・2号両方とも1977年です。
ボイジャーは、泣けるツボに事欠きません。
1号機の惑星探査ミッションは、土星に接近した1980年に一度終了。そしてその10年後の1990年2月14日、太陽系を振り返ってこんなスナップショットを撮っている。
有名なゴールデンレコード「地球の音/The Sounds of Earth」も搭載。55種類の言語による挨拶、ザトウクジラの歌声など。(NASAのサイトで聴けます)
ボイジャー計画は、多くの人に愛されているNASAの偉大な成果。飛び立って34年にもなるけど、二機とも健在で飛行中。2005年には太陽系の境界面に到達して貴重な観測データを送ってきたし、完全な機能停止(電池切れ)は1号機が2020年以降、2号機が2030年以降。
開発にあたった人たちは、それまで生きていたいと思っているだろうな。以前あるドキュメンタリーでNASAの担当技術者の一人は、「あの子」という呼び方をしていました。
ボイジャー計画の12年後に地球を旅立った、また別の探査衛星はガリレオ。当初予定の3年遅れで発射されるなど、トラブルが多かったようです。
このトラブルの多さについてNASAの研究者が、「あれは分業システムで、(ボイジャーのようには)関わった人たちの想いがなかったから失敗したんだ」と話していたと、ある人が聞かせてくれたことがあります。
ガリレオ計画では、衛星のプログラミングも全て最初から搭載されて、仕組みとしては完璧なものだったらしい。
それに比べるとボイジャーは隙間だらけで、プログラミング的にはほとんど何も積んでいなかったと。
遠ざかってゆく衛星と交信しながら(多分64kpbsとか、良くて128kbpsといった超初期のパソコン通信のような通信速度で)、NASAの技術者たちはプログラムを書き足したり書き換えていった。
遠隔操作で太陽側に機体を向けて、必要な修理カ所を溶かしたりもしていたみたい…と聞かせてくれたのは、16年前の上田壮一です。
以上、忘れたくないので書いてみました。
足りなかったり、十分な条件を満たしていない「にも関わらず」機能してゆくものごと・人・場には、ほんとうに萌えるものがあります。
by 2011/5/7