
この世界に、人間の居場所を
今日の昼過ぎまで、岩手県・遠野の北側の中山間部にあるクィーンズメドゥ・カントリーハウス(QMCH)という場所に3日ほど滞在していた。
4月に開催したランドスケープデザイナー・田瀬理夫さんの連続セミナーの、番外編にあたるエクスカーションとして。
ちょうど一年前(5/19)。僕は追って『いま、地方で生きるということ』という本に綴られる東北行の中で、ここに立ち寄っている。2時間だけ。スタッフの徳吉さんにインタビューを行った。
その後、地球は太陽を一周して、ようやく再訪の機会に至る。今回はゆっくり出来た。:-)

昨年の12月から、僕は田瀬さんのインタビューを始めている。来年の5月頃には本になる予定。
このあいだ書いた『なんのための仕事?』に「どんな大人たちの姿をみて来たか?が、その人の仕事観を形づくるんじゃないか」と書いた。
また「もし自分がわけもなく惹かれたり、眩しく感じる大人がいたら、とにかくその人のそばにいって一緒に時間を過ごすといい」と書いたと思う。その時間の有無が、本人が動いてゆくために必要な温かさやエネルギー源に必ずなるだろうと。
その時は、若い人に向けて語るような気持ちだったけど、いま自分にとって、田瀬さんと過ごすことがそんな時間になっているように思う。
「こんな大人がいるんだ!」という嬉しさを分かち合えるような、喜ばしく力強い一冊をつくってみたい。
が、それがどんな形になるのか、まだわからない。
複数名のインタビューイが登場する本は何冊か書いてきたけれど、一人の人物について一冊という形は初めてでもあるし。たぶんしばらく模索がつづく。

彼の職能はランドスケープ・デザイナーだ。
一般的には「風景や景観をつくり出す仕事」として説明されるけれど、田瀬さんが重ねている仕事は、風景や地形や緑の取扱いを通じて「この世界にどう人間の居場所をつくるか?」ということを。
そして、つくられた空間は、今度は「人はこの世界にどんなふうに居ることができるだろう?」という問いを語りかけているように思う。
遠野のQMCHはその実践的な試み。

西の空に明星。
本の出来上がりは、あと一年後です。:-)
by LW 2012/5/21