
他愛ないことの積み重ね
13-04-01 西村佳哲
いま、田瀬理夫さんというランドスケープ・デザイナーの話を軸にした本を書いている。
今月19日が、ブックデザインのTさん・編集のKさんと決めた原稿〆切の日。頑張る(いや、頑張らない)。
インタビューの中で田瀬さんが、「地域の景観をなんとかしたいと思ったら、そこで営まれている農業のあり方を見直す必要がある」と語っていた。
「暮らしている人々が日々くり返ししている、ごく他愛ないことの積み重ねが〝文化〟であって、それが風景にもなってゆくんですよ」と。
たとえば専業ではなく、兼業の農家さんが多勢を占めるに至った日本の農業のありようが、田舎や地方の景色にはそのままあらわれている。
で、それは東京の住宅地にしても同じ話で、私たちがどんなふうに暮らしているか? というあり方の連続が、まちの景観を形づくっている。
駅から帰る道沿いの家に見上げる、窓辺のあかり。毎年花を咲かせる曲がり角の樹。鋏の入っている生け垣。ポストやインターフォンのまわり。
「まちづくり」といった大袈裟な話以前に、自分たちが暮らしている場所を大切にして、実際に手を入れてゆくことが大事だと思う。庭木の手入れもしないで本なんか書いている場合? という気分が高まってしまって、今日の午前中は裏庭の剪定をしていた。
つい仕事にばかりエネルギーを注いでしまいがち。だけど生活の中で、より全体的に自分を働かせたい。

うちの角の樹は「ロドレイア」という東南アジアの木花です。今年は桜より少しおくれて満開に。
垂れて咲くので、見上げると花がみんなこっちを向いていて、たまらない。
by LW 2013/4/1