
「する」ことと「起こる」こと
17-1-20 西村佳哲
杉本さんが書いてくれた greenz.jp の記事が有り難い内容で、何度か読み返した。神山の仕事や暮らしはその後もつづいていて、一昨日は町の若手約50名で青木将幸さんを講師に招き、丸一日の「グッドミーティング講座」を体験していた。

この50名はワーキンググループ2(WG2)という名前で、1月から2月末までの短い活動体。全員40代以下。町職員と住民等の比率は約1:2。男女比や、町で生まれた人とよそで生まれた人の比率は、ほぼ1:1。
青木さんの講座はその第2回として開催。同じ「若手」とはいえ、生まれ育った場所も違えば、職場や職歴も、価値観も経験も異なる者同士がコミュニケーションのプロトコルを揃えながら、同時に「おー。こんな人がいるんだ」と互いを知ってゆく。

状況を変えるには、アイデアが要る。
アイデアとは「既にあるものの新しい組み合わせ」(ジェームス・ヤング)なので、多様な人がいて、いい関係やそれを育む場があり、新しい組み合わせが生じやすいことが大事。結果として、そのときどきに必要な仕事や活動が、ほどよく生まれているといい。
これは社会についても、まちについても、組織や職場においても同じ話だなと思う。
このワーキンググループは、2015年の7〜10月にも実施した。メンバーは今回と違ったり、同じだったり。


そこからいま自分も参画している「神山つなぐ公社」が生まれ、「フードハブ・プロジェクト」が生まれ、フードハブは1週間前に「かま屋」という食堂をオープンした。


フードハブ・プロジェクトは、1年前の今頃は主メンバーもまだ3名ほど。自分を含む周辺人物を加えた約10名で、西海岸へレストランと農家の関係のアレコレを学びに行った。
フードハブの真鍋太一は、シェパニーズ周辺のシェフ等と親交が厚く、かつ調整能力が極めて高い男で、そう簡単に入れないはずの厨房や農園やラボやオーガニック・フードの流通拠点等を数日間、次々と見て回ることができた。
そしてアパートに戻っては、その日に見た事々について各自の視点から「あーでもない」「こーでもない」と話を交わしていた。あの時間があって本当に良かったなと思う。



他人と違う成果を生み出している人たちは、成果そのものをつくる前に、その成果が生まれてこざるを得ないようなやり方・働き方・仕事の現場・コミュニケーション等々、一言でいうと「プロセス」をつくっている。成果はその帰結として生まれる。
僕が20年ほど前に働き方研究と称して、憧れの人々や職場を訪ねた際、最初に学んだのはこのことだった。
目的地よりプロセスの方にウェイトを置いて歩いてゆくと、自分の計画や想像を越えて、いろいろな物事が生まれてくる。
2年前に奈良で行った「ひとの居場所をつくるひとフォーラム」にゲストの一人として来てくれた、穂高養生園の福田俊作さんは、「西村さんから『なにをしてきたか話してもらえたら』と言われているけど、ちょっと難しい。でも、『なにが起きたか』なら話すことが出来ます」と語り始めた。
町のことにかかりっきりの1年半を過ごしてきましたが、いま、その奈良の本を書いています。
by LW 2017/1/19