A DAY・制作日誌
上は公開半年前に描いたスケッチ。この頃のプランは、プロジェクター×五台。コマ送りで、通常と異なる時間の流れを体験できる大きな映像面をつくることに。
投影面の対面には、生物時計に関する壁面展示を構想。しかし、予算配分等の事情から徐々に縮小。
2002年晩秋
壁面展示をあきらめる。かわりに操作卓面にテキストを添える方針に。プロジェクターの数も三台に減少。でも、解像度を変えることで横長の連窓投影面は維持。
2002/12
東京・井の頭公園の花屋さんで、就眠運動をもつ植物・カタバミを入手。撮影機器の検証も兼ねて、さっそくテスト撮影開始。インターバル撮影の間隔値や、映像全体の尺を検討。
2003/1月中旬
満月の日、伊豆・下田で最初の屋外撮影をスタート。30秒ごとにシャッターを切ると、一日で約2900枚のJPEGファイルが保存されます。これをパラパラ漫画にして、一日分のコマ送りの映像をつくる。
シャッターはカメラが自動的に切ってくれるけど、ワンテイクが24時間と長いため、撮影中に様々な出来事に見舞われる。たとえば天候の変化。この日は後半から雨が降り始め、雨露払いに何度も立ち寄ったが、早くも一台故障。
2003/1月中下旬
渋谷の首都高速道路でテスト撮影。登り線・下り線の混雑に、都市の生活リズムがあらわれるのでは、とか…。
2003/1月下旬
東京・玉川大学農学部のミツバチ科学研究所へ。二月はまだ野山の花が少なく、ミツバチの活動に日周期は顕著に見られないかもしれない。これが四月頃なら….。しかし展覧会がはじまるのは三月。とにかく撮ってみましょうかと、研究室の先生方も協力してくださる。
ここには、蜂の巣の内部を観察するためのアクリルの巣箱があり、巣箱はパイプで屋外につながっているのです。
2003/1月下旬
都市の生活リズムを捉えるべく、高層ホテルから東京の市街地や首都高速道路を、見下ろして撮影。
2003/2月上旬
その足で沖縄へ。インターネットで、二月の寒い時期でも屋外で放牧をしている牧場を探し、「牛の一日を撮りたいのです」と電話で相談したら、なんとも快く受け入れてくださった。
この牧場には、牛のほかにもいろいろな生き物がいた。犬、山羊、鶏、ウサギ、イノシシ。
なぜかラマもいる(しかも放し飼い….というか、居る)。この牧場の家族、とくに奥さんにはとてもお世話になりました。ありがとうございます。
2003/2月下旬
東京に戻り、映像編集で参加していただく春日さんの仕事場(o:g)を訪問。これまでに撮ったすべてのデータとレイアウト案を彼に渡して打合せ。展覧会まであと三週間。
2003/3月冒頭
システム構築には、東京・高田馬場のGKテックが参加。社長の岩政さん(左端)と、三台のプロジェクターで連窓投影する作動状況を確認中。あと二週間。
2003/3/10頃
公開一週間前。いよいよ会場の日本科学未来館(東京・お台場)で設営作業を開始。ターンテーブルの制御系を確認する、GKテック・真貝さん(右奥)と山脇さん。
2003/3/12
システム設置の作業と併行して、映像と音の最終的な現場調整。左奥は音楽家の一ノ瀬さん。仕事は深夜におよび、会場では、他の展示物を突貫作業で仕上げる人々が一様に汗をかきかき働く。
この後四日間少々を投入し、ようやく公開。:-)
by 2003/3/19