小さな木をつくろう!

2002年8月に世田谷区で開催された、小学生向けの夏休み・ものづくりワークショップ。
一日目は「自然感察」のプロと砧公園へ。二日目は工作。それぞれの「小さな木」ができました。
 

一日目のようす 8/22(木)

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一日目のワークは、世田谷の砧公園で。大きな木とひろい草地がある大きな公園です。むかしはゴルフ場だったそう。とても天気が良く、気持ちのいい日。

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桜の葉のかげをのぞくと、セミの抜けがら。一本の木に、たくさんの生き物が関わっています。二日目につくる「じぶんの木」の前に、自然の木をあらためて感じ直すのが、今日のテーマ。

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ワークショップのはじまり。右からナチュラリストの藤本和典さん。二人の参加者をはさみ、リビングワールド(以下LW)の西村佳哲と藤本たりほ(ちなみに和典さんの娘ではありません;-)。 みなさん、よろしくお願いします。

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芝生の上でみんなで輪になって、ちょっと自己紹介。ボランティアのお姉さんたちも一緒にオリエンテーション。

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スタッフが事前に用意しておいた、木々の間を渡るロープにそって、持参した目かくしをして、ゆっくり散策。スタッフは物音を立てないよう、すこし離れて見守っています。

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明るい草地から、木陰に入った女の子。陽射しが弱まり、地面の感触も変わって….。たぶん彼女の感覚はフル稼働で「ここはどんなところ?」と探っている。じっくり感じたら、さぁ次の木へ。

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最後の木についたら、目かくしはそのまま、しばらく芝生の上でのんびり。いろんな匂い、いろんな音、太陽の光、風が吹いている様子。いつもと違うかたちで、自分のいる場所を感じます。だまってジッとしていると、まわりの世界が流れ込んでくる。

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目かくしをとったら、クイズの時間。藤本和典さんが持っているのは、まだ小さくて青い柿の実。初めて見るという人も。「この実がなっている木は、いま目かくしで触ってきた木の中にあります。さて、どの木だと思う?」

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みんな、いっせいに探しに走り出す。「あった! みつけたよー!」

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つづいて二問目。藤本さんは、透明のフィルムケースを取り出しました。中には小さな実。みな順番に匂いをかぐ。「この香りする実がなっていたのは、どの木かな?」。さまざまな角度から、木を感じ直すクイズがくり出されます。

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クイズの後は、画板を持って個人作業。今日感じた木の中から、それぞれが気に入った一本を探しに 出かけます。夕暮れ迫る。気になる葉っぱや小枝、木の実などもあつめました。

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木を絵に描いてみたり、木や葉っぱのかたちを確かめてみたり。自分はどんな木が好きなのか、めいめいイメージをふくらませました。

 

二日目のようす 8/24(土)

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二日目は、三軒茶屋にある世田谷くりっく・生活工房での工作ワーク。一日目に拾っ た小枝やスケッチを持ち寄って集合。小さな紙箱の中に、自分の理想の木をつくります。

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まず少し目をとじて、公園で見たこと感じたことを思い出してみよう。

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LWの藤本が、今日の工作の大まかな流れを試作品で説明。

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いきなりつくり始めずに、まずはスケッチを描いてみます。ワークショップ・シリーズ全体のテーマは「デザイン」。単なる工作ではなく、目的を描き、計画的にモノづくりを進める楽しさや醍醐味を体験します。

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まずはイメージの中の「自分の好きな木」を描いてみます。一日目の自然感察を通じて、みんなのイメージは広がったかな….。

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描いた木のシルエットに色を塗って、ハサミで切り抜いています。

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箱の内側に貼込用の背景。箱の中に舞台の書き割りのような、半立体の造形をつくるのです。オレンジ色の空は夕焼けかな。星や月がまたたく真夜中の空を描いた人もいました。

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拾った木の皮を貼り付けて、地面をつくっている人。

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小枝をならべて、木立が出来てきました。

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完成間近。LWが考えていた隠れテーマは、「つくった後、保管しやすい工作」。20年ぐらい残せるフォーマットとして、箱を選びました。大きくなった彼らが、箱を開ける日が来るといいなあ、と思いました。

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絵の具やボンドを乾かす時間を利用して、ひとりづつ思い思いのポーズで撮影。

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箱の中に加える、彼らの小さな切り抜きをつくります。

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出来上がりはこんな具合。木の下に「小さな自分」が立っているのが見えますか?

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迎えにきた家の人たちとミニ展覧会。他の人がつくった木に見入っている子どもは、なにを感じているんだろう。この後11月と2003年2月の計二回、生活工房にて正式な展覧会がありました。今頃は、それぞれの家の押入の中にしまってあるのかな。箱のフタにはポケットがついていて、「大きくなった自分」宛の手紙が入っているはずです。

 

以下は、2日目の最後に参加者のみなさんと、そのご両親に宛てた手紙です。

参加者のみなさんへ

私たちは世田谷の小学生を対象とした、
モノづくりのデザイン・ワークショップ の相談をうけました。
モノをつくるのはとても楽しいことです。
その楽しさの一端を、みなさんにもぜひ体験して欲しい。

でも、すぐに捨ててしまうゴミになりかねないモノは、
出来るだけつくって欲しくないと思いました。

私たちも大きくなるまでに、小学生時代の工作物を含み、いろんなものをつくってきました。
でも、その大半はいつの間にか、どこかへ消えてしまっています。
みなさんはどうですか?

でも、時間を超えてちゃんと残っているものもあります。
たとえば古いノートや、卒業アルバム。
こうしたモノの特徴は、入れ物としてのデザインがしっかりしていることです。

「箱」という形でつくることで、20年や30年以上残すことも出来るかもしれない。
もしそうなったら、たとえば今10才の人が30才半ばの頃に再びこの箱をあけて、
むかし自分がつくった「こんな木が好き」という気持ちの断片に、再会できるかもしれません。地図も入っていたら、描いたり触ったりした木を探しに行けるかもしれない。
そんなことを考えました。

もうひとつ。
なぜその箱をつくる前々日に、公園の木立の中を、目をつむって歩いたりしたのか?
それはモノをつくる前に、感じる時間を十分にとって欲しいと思ったからです。
「つくる力」も大切ですが、その前の「感じる力」もとても大切で、実はそれが「つくる力」を引き出します。

でも、その話はこれぐらいにしておきましょう。長くなりました。
参加してくださって、どうもありがとう。

西村佳哲 藤本たりほ
 

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by 2002/8/24