10年目の仕事など

2ヶ月ほど前から、約10年前に手がけた内田洋行のコーポレート・ミュージアム(2004)の追加デザインを行っています。


8畳ほどの小さな空間の壁を「コ」の字型のライトウォールにして、これまでの100年の歩みを表現する年表になっています。下は竣工時(2004)の写真。2008年にも一度更新しているが、今回は2013年のラインまで引き直す。

この壁の半分(約100年分)は白く残されていて、ここに来てくれたゲストの方々とつくり出すプロジェクトで埋まってゆくといいですね! という話を、当時の社長(現会長)と交わしながらつくった。

内田洋行は、満州で起業した文具店がその始まりです。最初の頃は羽ボウキやリングファイルを手作業で組み立てながら商いを始め、追って計算尺やマジックインキなどのエポックが登場。
時代を追って、教育支援とビジネス支援の2つの流れに分かれてゆく過程が面白い。

写真:2004年、LWでの編集作業。左から、平山さんと内田さん。

ミュージアムに表示する商品やプロジェクトの選択が、ある意味いちばんの大仕事で、同社の平山さんを軸に、編集者の内田みえさんにもかかわってもらいながら内容をまとめてゆきました。

その内容をデザインに落とし込みながら、インタラクションの技術的な実装をGKテックと詰めて。

写真:2004年、設置作業中の一コマ。右はGKの岩政隆一さん。社長みずから現場で設置作業するし、プログラムも自分で書いてしまう、錆びない人。

壁面に表示する情報のいくつかは、フィギュアで3D化してアクリルのキューブに封入。底面にICタグを仕込んで、中央のテーブルに置くと関連する写真や映像が引き出させる…というシンプルな設計です。

この部屋のシステムは、ICタグのアンテナ調整から、内蔵された投影機器のアップデート、部屋の調光システム(LED)など、この10年間少しづつ手入れがつづけられ、そして今回、9年分の年表グラフィックも更新することになった。
こうして継続的に使われているのは、本当に嬉しい。

以下は、今回の製作過程の一部。

壁面の更新に合わせて、いくつか新しいキューブもつくります。10年前にご一緒した職人さんが行方不明になっていたりして、また別のフィギュア製作の職人さんと封入テストを行ったり。

内田洋行ビルのキューブもあらたに製作。これは封入前のフィギュア(実サイズは4cm角以下)。右端の郵便ポストが大事なアクセント。

余談ですが、このポストはよく見ると郵便局のそれと少し色味が違い(渋い)、お腹には「私設」と書かれている。つまり内田洋行が敷地内に設置している、私設の郵便ポスト。こういうこと出来るんですね。

コーポレート・ミュージアムのリニュアルは、9月上旬には終えられそう。一般公開はしていない部屋ですが、教育機関やビジネスパートナー候補の方々なら、申し込めば見せていただけると思います。:-)

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そんな作業をしていたら、日本科学未来館からも手紙が。「一日/A DAY(生命のリズム)」制作と、展覧会企画で参画した「時間旅行展」(2003)が、長崎市科学館で巡回中とのこと(7/13〜9/1)。

この巡回展も今年で10周年で、国内外含み、これまでに125万人が見ている計算になるとか。うわー。

下の写真は、2003年の初回展示中の一コマ。どこかの家族が「A DAY(生命のリズム)」を触りながら観ている横顔。左端の男の子は中学生くらいかな。もうどこかで働いている可能性大ですね。どんな大人になったかな。

10回の金木犀や、10回の夏を味わいました。
10年経ってわたしたちも変わり目の時期を迎えている自覚がありますが、よい形で、満足のあるように歩んでゆきたいと思っています。

 

by 2013/8/18