リビングワールドのレポート

まえがき(LW):
藤崎圭一郎さんに、リビングワールドの仕事に関する文章を、ときどき書いていただけることになりました。

90年代冒頭は「デザインの現場」編集長。その後はデザインジャーナリストとして、いろいろな雑誌のデザイン特集をささえている人。
初期のCasa BRUTUSでは編集部の方々に、親身なデザイン史の授業をさずけていたんじゃないか…というのは僕らの想像。

こんな風にお願いしました。
・ジャーナリストとして、客観的なレポートをお願いします。
・ヨイショする必要はまったくナシ。
・楽しんで書いて!

まずは彼からの挨拶文を。
 

このたびリビングワールドの仕事を、各プロジェクトごとにレポートすることになった藤崎です。

最近、僕は「縁」という漢字がえらく気になっています。この仕事を引き受けたとき、真っ先に思ったのは、リビングワールドの仕事は漢字一字で表すとまさに「縁」だなと。
えん、ふち、へりと読みはいろいろです。

「えん」はコミュニケーション。メディアをテーマにすることは「えん」をつくることです。
同時に「えん」はコラボレーション。リビングワールドの仕事には優秀な外部協力者が欠かせません。

「ふち」は境目。他者と接するインターフェースです。
界面活性化装置が彼らの仕事だと思っています。違う時間や違う視点を遭遇させて化学反応を起こさせたり……光と大気と水と地が出会う浜辺のような豊かな「ふち」に真理が落ちているものです。学際というのもまさに「ふち」です。

「へり」は刀の縁──研ぎ澄まされた歯のようなイメージです。エッジ。時代の先端にして時代を切り裂くもの。同時に、辺境という意味もあります。辺境からの眼差しは世界の見方を変えます。
ほらまさにリビングワールドでしょ?

もちろん「縁」という漢字がピッタリくる仕事している人は、リビングワールドだけではありません。
が、彼らはその代表的な1組であって、僕は「縁」を生きる表現者に興味があるんです。

リビングワールドの仕事のレポートを頼まれたのも、何かの「縁」──。
ひと組の作家を追っかけているとジャーナリストとしての平衡感覚も崩れてしまいがちですが、そのあたりうまく距離感を保って、つかず離れず遅れずにリビングワールドの現場を追っかけていきます。

第1回目は神戸空港の「EarthClock 」から始めます。(藤崎)
 

原稿をいただいたのは、実は半年以上前。展覧会などでウェブサイトのリニュアルに手間取っているうちに、すごく時間が経ってしまいました。
しかし、ちょうどグッドタイミングだったりして(詳しくは追って)。来週あたりから、まずはアースクロック・三編を掲載します。藤崎さんの個人blogは「ココカラハジマル」。

→その1:自然の時間、人工の時間
 

by LW 2007/1/9

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