更新:2020年5月22日

一緒に冒険をする 2018 弘文堂

「この人の存在を分かち合いたい!」と思ってきた約9名と、インタビューや、フォーラムのセッションで交わした言葉で出来ている本。

1曲毎に異なる歌い手とつくった1枚のアルバムのようなもので、自分の役割は、よく言えばリズム隊(ドラムやベース)だ。他の著作と違ってこの弘文堂のシリーズ(『自分の仕事を考える3日間』『みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?』『わたしのはたらき』『一緒に冒険をする』)では、僕は「こう思う」といった自分の考えを、あまり挿入しない。

インタビューという形で本人の歌を聴きながら、「すげえな!」と最後までその曲を一緒に演って、録った音源をミキシングして…という具合で、本当に音楽アルバムの制作、そのものだなと思う。

 

ひとの居場所をつくる 2013 筑摩書房、2020 ちくま文庫

最初の本からちょうど10年目の一冊。タイトルを見比べると、「自分」が「ひと」に、「仕事」が「居場所」に替わっていて、自分の関心の推移がわかりやすい。

ランドスケープ・デザイナーの田瀬理夫さんに出会い、この人の面白さをどう書いたらいいものかと、矢沢永吉の『成り上がり』を読み直した記憶がある。津田直さんの写真が素晴らしい。載せきれなかった素敵な写真が沢山ある。

 

なんのための仕事? 2012 河出書房新社

*2020年11月をもって絶版。出版社には在庫がありません。見かけたら手にとってみてください。

自分のことを書きすぎて、穴があったら入りたい一冊。そんなふうに書いてしまった理由には東北の震災が大きい。とはいえ、エフスタイルの二人や西堀晋さんをはじめ、大好きな人々のインタビューが自分で読み返しても素晴らしいので、恥ずかしけど手にとって欲しい本。

書店で見かけることの少ない希少種で、たまに見かけると意志を持った個人(店員さん)の存在を感じる。最初の本に始まる「働き方研究」の流れは、この本で一区切りがついた。

 

わたしのはたらき 2011 弘文堂

奈良のフォーラム「自分の仕事を考える3日間」から生まれた、全3冊の最終巻。

ざっくり「仕事」と言うけれど、「産業」と「事業」と「生業」をごちゃ混ぜにして話していることがあり、雑だなあと思っている。加えてもう一つ、「はたらき」があると考えており、その意識がタイトルにあらわれている。なにをしているかとか、なにが出来るかといったこと以前に、本人が存在するだけで作動してゆく力があると思う。

 

いま、地方で生きるということ 2011 ミシマ社、2019 ちくま文庫

ミシマ社の三島邦弘さんと一緒に書いた感の高い一冊。東日本大震災の直後で本を書くどころでない気分だったけれど、結果的に自分の中でいちばん早く、いちばん楽しんで書けたのが不思議。

「海の近くで暮らしたい」と言う人は多いが、本当に移り住む人は少ない。実際に動く人と、動きたい人の間にはそれなりの段差がある。なにかを選ぶことは、同時に、なにかを捨てることだ。「もう済んだ」と思うことは気持ち良く手放し、自由に生きてゆければ。

 
 

かかわり方のまなび方 2010 筑摩書房、2014 ちくま文庫

2011 年に書かれた一冊。教育やワークショップ、プロジェクトのファシリテーションなど、対人関与の技能や感性をめぐる、約10年分の探検報告。

働き方研究に3部作があるとしたら『なんのための仕事?』がそのつもりだったけど、結果的にこの本がそこに位置している。働き方の話が、あり方の話になり、かかわり方の話に渡ってゆくのはいい展開だなと思う。〝自分〞の話が〝自分たち〞の話になっていったわけだ。

 

みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの? 2010 弘文堂

奈良のフォーラム「自分の仕事を考える3日間」の2年目の本。人の話をきくことの面白さがハッキリした大好きな一冊で、忘れがたい。

僕にとってインタビューは、その人が生きてきた経験世界の中へ、本人の案内で歩いて入ってゆく仕事だ。自分のインタビューが、仮説検証から、肖像画を描くような作業に変わり、それがこの本を書いている中で風景画に変わってきたことから、「インタビューのワークショップ」を始めるようになった。

 

自分の仕事を考える3日間 2009 弘文堂

この年に奈良の図書館で始まったフォーラム「自分の仕事を考える3日間」の最初のゲスト・8名とのインタビューから生まれた本。加えて鷲田清一さんや石村由起子さんなど、3名のインタビューも収録している。

このフォーラムは多産的で、ここから生まれたつながりや、仕事や活動の後日譚をよく耳にする。河瀬直美さんと明川哲也(ドリアン助川)さんも出会い、後年の映画「あん」に至った。嬉しい。

 

自分をいかして生きる 2009 ちくま文庫

2009年にバジリコという出版社から出たのち、異例の速さで筑摩書房の文庫に。『自分の仕事をつくる』の補稿として書いた、長い手紙のような一冊。カスティリオーニも登場する最初の章は「夢がいっぱい」という感じだけど、次第に、ああでもないこうでもないと逡巡が深まってゆく。

6年かけて何度も書き直した本で、40代前半の働き盛りの時期をこの執筆に割いたことから、いろいろなことが大きく変わった。

 

自分の仕事をつくる 2003 晶文社、2009 ちくま文庫

晶文社で出版されたのは2003年。読み返すと多義的で、その後に展開することが全部入っていることに驚く。最初の一冊ってそういうものなのかな。でも当時は二冊目を書くつもりはなかった。

関心の起点は 20 代の会社員時代にある。30歳で辞めて、それからの働き方を学び直したくなり、八木保さんや柳宗理さん、パタゴニア、ヨーガン・レー ルさんなど、デザイン・ものづくり領域の先達に「どんな働き方をしているんですか?」と尋ねて回ったわけだ。

33 歳の頃、あるプロジェクトが一息ついて1ヶ月ほどサンフランシスコで暮らしてみた。そのとき借りた家の持ち主が、たまたまホールフーズの創業メンバーの一人で、グラフィックデザインを担当していたという。メキシコの家から荷物を取りに来た彼女が見せてくれた、初期のホールフーズの店頭ディスプレイの色の組み合わせがすごくきれいで、忘れられず、この本の表紙で再現した思い出がある。


インタビューや寄稿が収録された自著以外の出版物は、左京泰明さんの『働かないひと。』(弘文堂・2008|関連記事)、せんだいメディアテークの『ミルフイユ 02』(赤々舎・2010|関連記事)、山崎亮・長谷川浩己さんと尾内志帆さんによる『つくること、つくらないこと』(学芸出版社・2011)、豊嶋秀樹さんの『岩木遠足 人と生活をめぐる26人のストーリー』(青幻舎・2015)、『We Work HERE 東京の新しい働き方100』(ミライインスティチュート出版・2016)、『地域×クリエイティブ×仕事:淡路島発ローカルをデザインする』(学芸出版社・2016)、『神山進化論:人口減少を可能性に変えるまちづくり』(学芸出版社・2018)、ナカムラケンタさんの『生きるように働く』(ミシマ社・2018)など。

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