
プロジェクション・テーブル
内田洋行オフィスビル(東京・八丁堀)の一階につくられた、小さなコーポレートミュージアム。
壁面に展開する100年分の社史からアイコンを取り出し、テーブル(Projection Table)の上に置くと、その商品や事業を起点とした情報が、動的に浮かび上がる。
リビングワールドは、企画とデザインを担当。

内田洋行の東京ショールームビル(新川)一階に、約5メートル角の小さな部屋がありました。大阪万博で展示した「オールマイティデスク・未来の机」が展示されていた部屋。ここを、コーポレートミュージアムとして生きかえらせる。

2003年の暮れに作業開始。スケッチをまじえ、LW、GKテック・岩政氏、内田洋行・平山氏ほか文化施設事業部門のデザインスタッフと、2月中旬までアイデアを二転三転。

壁面の年表は2000年を境目に、左右に100年づつひろがっている。半分が空白なのは、これまで歩んできた歴史の紹介だけではなく、これからについて話し合うための空間だから。

内田洋行の創業は1910年、満州の大連にて。「洋行」とは中国語で外資系企業の意。当初は満鉄の事業所などを顧客に、文具の製造・販売を行っていた。物資のない戦後の一時期は梵鐘の販売を手がけていたことも。やがて、学校教材やオフィス機器に発展した。

年表上部には一般社会史を配置。日本国内で戦前の写真アーカイブを持つ新聞社は、毎日新聞社のみだそう。(戦後、東京の各社のものはGHQに処分されたが、毎日新聞社は急遽、大阪へ隠したという)

各年ごとに代表的な事業・製品をアイコン化。

壁面のアイコンの中には、フィギュアを封入したアクリルキューブが添えられているものがある。

計算尺について語る、内田洋行の平山信彦氏(プロジェクト・マネージャー)。そのキューブ・アイコンを壁から取り出し、中央のテーブルにのせると…。

黒いテーブル面に、該当する商品・事業をめぐる情報が浮かび上がる。

キューブの属性は、RFIDによって識別される。

操作は簡単(置くだけ)。組み合わせも、プレゼンテーションのリズムも自由。技術で驚かせるのではなく、かかわりあいを豊かにするためのデザイン。

壁面の年表は、部屋全体の印象をつくる重要な要素。その編集とデザインには多くの時間を必要とした。

“The Road of…”のタイトルは、内田洋行・向井社長によるもの。
制作過程で商品化が決まり、現在いくつかの企業や公共施設での導入が検討されている。
制作: 2003年12月~2004年5月
(2005年より予約制で一般公開)
プロジェクト・マネージメント: 平山信彦(内田洋行)
デザインプランニング、ディレクション: 西村佳哲(リビングワールド)
アートディレクション、グラフィックデザイン: 西村たりほ(リビングワールド)
編集: 内田みえ(サイレントオフィス)
編集協力: 五条彰久
展示実施設計: 平林宏幸 平井孝始 鶴岡 誠(内田洋行)
展示制作管理: 三村洋一郎(内田洋行)
エンジニアリング・ディレクション: 岩政隆一(GK TECH)
プログラミング、エンジニアリング: 大久保 理、真貝孝洋(GK TECH)
アンテナユニット・エンジニアリング: 八田政恭 宝利和伸 増山敏雄 大塚 智(キャビン工業)
サウンドデザイン: 松前公高(Manual of Errors)
モーションスケッチ、画像処理: 関やすこ
Special Thanks to: 岡野 民 蓮實重臣 高木嶺一・小林信子・兼宗磨祐子(内田洋行)
by LW 2004/5/1