
Nov 6, 2019
廣瀬俊介さん(ランドスケープ・デザイナー)を招いた勉強会の仕事で、丹波篠山に行った。自分は、神山町で仲間たちと取り組んでいる集合住宅プロジェクトを軸に、ここ数年「住まい」について考えてきたことを2時間ほど話し、廣瀬さんとのクロストークでは進行役的なポジションを担った。スピーカーと主催者の中間くらいの立ち位置。
先週、GOOD DESIGN AWARDの最終発表があり、建築プロジェクトの立ち上げに関わった訪問診療クリニックの「かがやきロッジ」(岐阜)が今年の金賞を受賞した。おめでとうございます。
これは「建てたい」と思ったお医者さんと右腕の女性が「どう進めればいいんだろう?」と考え、わからないまま「デザイン、居場所」でGoogle検索をかけたところ『ひとの居場所をつくる』がヒットして、本を読み、そして相談メールが届いたという楽しい経緯を持つ。それがひとまずここまで展開した。
何回か通って彼らの話を聞き、スタッフの話も聞き、「この人たちに合いそうな建築家、建築家…」と考えて安宅研太郎さんを紹介。初期のミーティングやプレゼンに立ち合ったのち、設計が本格化した頃に離れて、あとは最終プレゼンに立ち合ったり竣工後に訪ねたり、再来週はそこで非公開の勉強会をひらく。
自分はなにをしているんだろう? と思う。
EIGHT BRANDING DESIGNの西澤明洋さんが『アイデアを実現させる建築的思考術』という本を書き、僕との対話も収録されているため、数日後に恵比寿の書店でトークイベントを持つ。その予習で本を読み始めているのだけど、つくづく自分は「職能」や「肩書き」で仕事をしていないなと思う。
本の冒頭で西澤さんは、「建築家は(依頼者と)二人三脚でその形をデザインする」「これは多くのクリエイターや経営コンサルタントのアプローチとは、結構異なるもんだなと自覚するようになった」と述べていて、「え!? 異なるの?」と思う。かかわり合いながら、その中で互いに変化してゆくような働き方をしていない人なんていないんじゃない? 少なくとも、自分のまわりで面白い仕事をしている人たちの中には、いない気がする。
20代から30代の最初の頃は「自分はなにをしたい?」「なにができる?」といったことばかり考えて苦しかったけど、周囲のひとたち・状況・環境、まわりの世界が見えるようになってくると、その中で「なにをすればよさそうか」はわかるので、出来ることを出来る限りする。
その場その場で「そのとき必要なものになる」ことが出来ればいちばんで、建築家とは?とか、インテリアデザイナーとは?とか、そういうのは考えない人生になった。これでいいんだろうか。