Mar 7, 2020

建築プロジェクトの初期段階にかかわった岐阜の「かがやきロッジ」が、Good Design Award 2019の金賞につづき、今年度の「医療福祉建築賞」を受賞。設計者の安宅研太郎さんから嬉しそうなメールが届いた。めでたい。:-D 

「かがやきロッジ」のことは、以前「びお」の連載にもすこし書いた(「文化的なたまり場というか」)。今朝、その知らせを読みながらあらためて思ったのだが、市橋さん(ロッジの母体にあたるクリニックの先生/内科医)は建設工事にそれなりの費用を投じ、以前「もうお金ない」と笑っていたけど、かなりモトを取っているというか、長期的には間違いなく取ってゆくことになるんじゃないか。 

この建物が出来たことで、彼らは、訪問診療に関心を持つ医大生など若手のインターンや研修医、関連する人材のちょっとした受け入れがグンと容易になった(COVIDを背景に、いまは一時的に開放性を抑えていると思うけど)。
ハード/ソフト両面でユニークなこの場所を知って、「学んでみたい」とか「一度訪れてみたい」と思う学生や若手は少なくないはずだ。

市橋さんは「医療系の求人サービスを使っていない」と話していた。人材紹介サービスの手数料の相場はさまざまで、調べてみると、年収の20~30%を求められる様子。この出費は大きい。
「早い時点で本人に出会って、結果的にウェイティングリストが出来上がってゆく方がいい」と話していて、さらに「最も不足しているのは医師だから、文系・理系の進路選択をする時期の中学生に、勉強を教えたい」とも。医大受験を可能にするクリニックの訪問医たち。なにそれ、すごいな。

その上こんなふうに複数の受賞を重ねて、広報予算の要らないPR機会が生まれている。狙ってはいないと思うけど(企画段階でいろいろ話を交わしたが「求人コストの削減」という視点は耳にしなかった)、仮に医療系求人サービスや看護師転職支援会社等を通じて、のべ数十名分の採用を行った場合、雑な暗算だが、その費用は建設費とトントンになるように思う。

オフィスづくりには大企業も熱心だ。働き方を物理的に変えてゆけるし、リクルーティングにもPRにも、プレゼンテーションにも有効に機能するので。
でも「面白そう」じゃなくて、「本当に面白い」仕事場をつくり、それを開いてゆくこと。魅力的な職場をつくることは、市橋さんたちの小さなクリニックにおいても、会社や組織にとってもそうだし、なによりの投資になるんだなとあらためて思った。

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