Mar 31, 2020

12月の始め10年ぶりに沖縄へ行った。いろんな人と話し、思うところがあり、書いてみたいことも浮かんで。でも年が明けて神山町に戻ると、仕事と出来事がまあ目白押しで、そのまま3月の感染拡大まで一気に来てしまった。

僕がいま働いている地域公社(スタッフ10名ほど)では、2週間ほど前から手洗いやオフィス換気の習慣化、毎朝の各自による検温など、自分たちなりの対策を講じていたが、3日前の週末、のどかな山あいの職場ではあるけれど長期化に備えて次の動きを始めないとな…とテレワークの導入など考えていたところ、今朝「徳島県で2名の感染確認」というニュースが入り、その一人が実家に帰宅していた神山町の20代女性という続報が入り、午前中のスタッフミーティングで話し合って、そのまま午後から在宅勤務形態に突入した。

この組織は町外の出身者が多く、外部とのつながりも多い。普段はそれがプラスにも機能しているが、現況下では町民の方々、あるいは隣り合う町役場の方々の中に「外とつながっているんでしょ(怖いかも…)」という印象を抱く人がいるかもしれない。いやいるだろうな…と思い、自分たち自身のクラスター化や、感染拡大率の抑制、准自己隔離的な意味合いで在宅勤務体制に入った。

僕は2月中旬から町を出ていないし、意外にみんな外に出歩いてはいないようなのだけど、いまは「自分が保菌者になっている可能性がある」前提で、一つひとつの行動を判断する局面だと思う。

状況の長期化を前提にした、働き方の開発という意味合いもある。組織単位の本格的なテレワークは僕も初めてだ。しばらく試行錯誤がつづくだろうな。一人で自宅で長く働いたことのあるメンバーはそう多くないので、在宅ワークにおけるオン/オフの切り分けとか、孤立感の取扱いとか不慣れかも。
僕自身はフリーランス期の経験に加え、建設会社で働いていた20代後半にテレワークやグループウェアのリサーチをしていた素地が、30年を越えてすこし効いている。どれだけ技術が進化しても、人間の基本的なところはそんなに変わらないものだなと思う。

2/17から昨日(3/30)まで、神山のNPOと共同運用しているサイト「イン神山」で、連載形式のインタビューを毎週一本公開していた。

アーティスト・イン・レジデンスは1999年にスタート。今年で22年目。毎年3〜5名の作家が海外から訪れ、作品とたくさんの思い出をつくって帰る。くり返し訪れる人もいるし、中には移り住んできた人も。海外から越してきた人は、アーティストのほかにもいる。

この外国人の多さは、日本の山あいのまちではたぶん珍しい。同じ一つの理由はないにしても、彼女はなぜここに来たの? 彼はどんなことを考えながら、ここで暮らしているんだろう?

イン神山/特集「Why are you here?」

「Why are you here?|ほかの国から、神山に」というタイトルのこのインタビュー群は、1年前に交わしたものだ。制作に時間がかかってしまったが、読み返してみると、その頃の穏やかな世界が広がっている。

僕はどのインタビューも大好きで、中でもヤマンドゥ、ジニーン、クウィンという、ちょうどその頃神山に滞在していた3名のアーティストのインタビュー、のあとに付いている工藤桂子さんというプログラム・ディレクターの話(第4話)。あと、NYCから訪れていたデイブという料理人の話(第5話)がとびきり好きで、インタビューは、すればするほど好きな人が増えてゆく最高の仕事だなと、あらためて思った。

外国の方々の魚影が濃い神山も、3月に入ってから、以前から暮らしている人たち以外には姿をみかけなくなった。遠くから訪れた人たちと、ご飯を食べたり、汗をかくような関係の醸成は、一度冬の時代に入ったかな。その冬の過ごし方を考えてゆければ。

イン神山/特集 vol.1 Why are you here?|ほかの国から、神山に

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