Dec 31, 2019

5泊6日の「インタビューのワークショップ」を終えて、山を下りてきた。今回の滞在は、清里の清泉寮。キリスト教をベースにした場所には清らかさがあって、すごしやすい。自分にとってもいい時間になった。

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「清泉寮」は宿泊施設部分の名称で、その全体像は「公益財団法人 キープ協会」。キープは「Kiyosato Educational Experiment Project」の略で、つまり教育実験プロジェクト。太平洋戦争を経て、疎開人口が増えたものの、営農基盤が弱く貧しい暮らしを送らざるを得なかった八ヶ岳山麓の高冷地(ここの標高は1,400m)で始まった、農業と教育の社会実験が出発点だ。

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第二次・吉田内閣の頃だと思う。自分はこの12月、沖縄へ行き、そこであらためて知った事々から、70年前、なぜ吉田茂があのような安保条約や背後の密約を交わすに至ったのか関心があり、戻ってからも関連する資料を読んだり、NHKの特集を見るなどしている。

そんなタイミングで、おそらくGHQや吉田との関係も深かったキープに滞在しているのは不思議な気持ちだった。

十数年前に、キープの新しい建設プロジェクトにむけた募金パンフレットをリビングワールドが製作した。その頃はまだこんな絵でしかなかった空間に滞在して、各地から集まった10名と、「きく」ことをめぐる景色の中を歩いた。

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自分の「きく」仕事はこれまで、書籍のインタビューと、ワークショップと、あと日常の中で役立ててきたが、そういえば今年はある会社の代表の話をきかせてもらう機会があった。面白かったので、年を越す前にすこし書きとめておきたい。 

ウェルカムという会社があって、日本の Dean & DeLuca を展開している。同じグループ・ブランドには Today’s Special や George’s もある。代表は横川正紀さんで、真鍋太一や野村友里さんを介し4年ほど前に知り合った。

そのウェルカムの社員総会が7月にひらかれ、全国各地から集まった社員さんたちの前で、横川さんの話をきく仕事をした。

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最初は講演を頼んでもらったが、彼の話をあらためてメンバーと共有する方がいいんじゃないか、と話し合いその展開になった。
終了後、横川さんはフィードバックシートを読みながら「いつもと同じ話をしているんだけどなあ」と笑っていたけど、光の射し込み方が変われば同じ話も新鮮に届くもので、スタッフの評判がよかった。「横川さんのあの話がとても印象に残った」とか、いろいろ。

それで「読み物にもするといいね」と、急遽インタビューを交わし、約3週間の突貫で薄い冊子にまとめた。(デザインはウェルカムのデザイナー氏)

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非売品なので入手は難しいかも。取引先の企業担当者さんにも渡してみたいと話していたが、基本的にはウェルカムで働く約2,000名のスタッフ(アルバイトさんを含む)が主対象だ。

大きくなってメンバーも増えた会社で、方向性をともにして力を重ねること、働き合うことをどう可能にするか。コミュニケーションをよく検討したオフィス空間はその助けになるが、ウェルカムの場合、一軒一軒の店舗に分散しているので別の方法も要る。

僕にとってインタビューは大事な仕事の一つだけど、そのいいところは、話をきかせてくれた人を好きになってしまう点にある。
そうなりやすい相手を選んでいるから、と言われたらそうなのかもしれないけど、友人の友人だった人が、自分の中で十分な存在感を持つ一個人になった。人生の登場人物が一人増えた感じがして楽しい。

いちばん上の写真は、ウェルカムのシーズナリー・グリーティング。
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