Oct 28, 2021

来週「町の工務店ネット」が主催する設計セミナーで、ファシリテーターというか、モデレーター(進行役)をつとめる。

11/10(水)9:30〜12:30
「今、地方だから建築でやれることがある」
https://machi-no-komuten.net/archives/27431

タイトルは代表の小池さんが付けた。5人の話し手が素晴らしくて、相談のあった7月末から緊張している。でも緊張したところでいいことはないので、そのぶんしっかりめに準備してきた。

セミナーに向かう告知の一環で、紹介文を書こうとしている小池さんから、昨日「今、いちばん感じておられることと、今、ご自分の中で、みんなに一番読んでもらいたい本について、メモで結構ですのでお願いできれば」というメールが届き、先ほどこんなメールを送った。

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田瀬さんとのつながりもあるので、今回はやはり『ひとの居場所をつくる』でしょうか。

「居場所」というテーマは、現代の社会的弱者や、心理的安全性といったトピックスに向かいやすい言葉ですが、「自然の中に人間の居場所をどうつくる?」という、環境とのつながりで考えると、都市や住居の話になります。

私は「働き方研究」という仕事も少し重ねてきました。

働ければなんでもいいわけではなくて、「自分の仕事(自分なりの人生をつくる仕事のあり方)」を考え・実践したい、という願いを持つ人は、若い人にも年配の方にも多い。

なのにその彼ら、わたしたちが食べているものや、暮らしているまちや、住んでいる家がそうなっていない。どこのスーパーにもあるし、なぜか年中売られている食べものを食べ。同じような仕様の駅舎の、同じようなチェーン店が並ぶまちにいて。住宅地は、国道沿いの風景と同じように、そこがどこなのかまるでわからない感じで。

きわめて即物的にフラット化した社会空間の中で、「自分なりの人生」や「自分らしい働き方」に焦がれている姿は、ある意味滑稽だし、難しいし、切ないなと思っています。

そこを組み立て直す方法は、逆に言えばいくらでもあって、いま並べたものを上げ直すと、食を見直せばいいし、住むまちを見直せばいいし、住まいを見直せばいいと思う。けど、住まいや住まい方について教えてくれる人が誰もいない…感じなんじゃないでしょうか。スタイリングの提案はいろんな雑誌がしてくれてきたけど。

今回のセミナーには住宅系の工務店や設計者、それらを学ぶ人の割合が多いと思いますが、私は、建築はもとよりランドスケープが専門でもない、ただ「自分なりの人生を形にしてゆきたい」人たちと共有出来るといい内容だよな、と思っています。

 

*『ひとの居場所をつくる』(ちくま文庫)

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