Aug 11, 2022

前回の展示にすごくいい印象があったアーティゾン美術館へ「生誕140年 ふたつの旅 青木繁×坂本繁二郎」を見にいった。

青木繁・坂本繁二郎、私はどちらも知らない日本の洋画家で、彼らは福岡県久留米市生まれの同郷。片方は画壇で活躍する前に20代で夭折し、もう一人は永らえてより多くの作品を描き残している。

坂本さんの絵は、39歳(1921)の渡仏を境に光と色彩の溢れ方が変わっていて、輪郭の滲んだ風景、静物、馬たちの姿に惹かれた。
42歳(1924)で、東京から郷里に戻る。1941年から日本は太平洋戦争に突入。戦後は国内の巨匠の一人として見なされていたが、美術団体には属さず日本芸術院会員への推挙も辞退(65歳)。地元の久留米で、静かに絵を描きつづけたという。享年87歳。

坂本繁二郎 放牧三馬 1932 石橋財団アーティゾン美術館(旧ブリヂストン美術館)
坂本繁二郎 鳶形山 1932 個人蔵
「植木鉢」1959 油彩 久留米市美術館

私は青木さんも含み、今回初めて彼らの存在を知った。そして、自分の知らない洋画家が、日本だけでもゴマンといることをあらためて思う。

考えてみれば「洋画」の現在をよく知らない。「画壇」とかまだ存在するんだろうか? するんだろうな。でもそこに若い、次の時代の描き手たちはいるんだろうか?

日展・院展・二科展などの公募団体は国内に200以上ある*。各団体は毎年、東京都美術館で入れ替わり立ち替わり展覧会を開いている。六本木の新国立美術館(2007〜)も、もともとは横山大観や梅原龍三郎が連名で書いた「国立の公募展美術館をつくって欲しい」という嘆願書が起点にあると今日知った。
でもその壁に若い世代の絵はどれくらい掛かっているんだろう。現在のあり様をまったく知らない。

公募団体、各地の洋画家、彼らが所属する文化協会などの美術団体、教職員会員が教える美術の授業、まちかどの絵画教室の現在はどうなっている? と思い。地方の県立美術館の役割について思い。あと、上野・藝大の油絵科では絵を描いて生きてゆくことに向けて、いまどんな授業が行われているんだろう? という興味が沸々と湧いてきた。
10年、30年後も、「絵を描いて生きてゆく」人生の姿はさほど変わらないのか。既にまるで変わっているのか。

そんなことを考えながら、翌日、江上茂雄さんの存在を思い出した。(つづく)

公募団体展 https://bijutsutecho.com/artwiki/120

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