Oct 29, 2023

川内有緒さんの新刊 が発売された。編集さんから頼まれた文字数が少なかったので、たくさん並ぶ中の一つかなと思っていたら、坂口恭平さんと私の二本立てだった。

私のコメントが売れ行きに貢献するとは思えないので、初校をよく読んでせっせと書いた。編集さんに送った他の文案をふりかえってみる。

〝遊び〟は買えないってことが、よくわかります。

これは〝遊び〟ですよ。というか、最近ぜんぶ〝遊び〟なんだなと思う。一所懸命やっていることはぜんぶ。そう考えると、子どもの頃よく遊んでおくのは本当に大事なことだな。
その只中で一緒に育ち合ってしまうのが〝遊び〟なんでしょう。すぐ完成しない小屋のまわりで、みんなよく遊んでいる。

一言でいうと、誇らしい気持ち。

コメントがたくさん並ぶなら短いのも、と思って書いた。でも本当にそんな気持ちになりましたよね。勇ましくはない、等身大の、楽しい〝自立〟が描かれている。小屋を建てるのと並行して、作家として自分をどう立ててゆく?という様子も描かれていて、その姿も誇らしかった。

川内さんは、柵のない緑地のような人。ひらかれている。

緑地というか、初めて会ったときから「扉や窓が開かれている家のようだな」と思ってきた。本人による本人のノンフィクションを読んでも、そう感じることになるんだな。

すぐに完成しない小屋。みるみる育つ子ども。仲のいい夫婦。:-)

そういう本なんですよー。もうアツアツだよ。(笑)
パートナーのイオさんはお会いしたことがないのだけど、有緒さんの筆を通じて彼の素直さが伝わってきて、25文字の指定を超えるこんなボツ案も書いた。

無防備でノリのいい川内さんのパートナー「イオ君」のことが、好きになってしまう読書体験でした。よろしくお願いします。

なにをお願いしているんだ、私は。

字数超過案は他にもあって、〝たいていのものは、自分でつくることができる。「面倒くさい」という言葉が一度も出て来ないのが素敵だ。〟とか〝やたら「成長したい」と言う後輩に、「買い物をやめて、なにかつくってみたら?」と伝えたくなった。参考書はこちら。〟とも書いている。8月中旬ですね。

帯文の相談はたまにもらう。書いたとおり、売れ行きに貢献すると思えないので、断る代わりに一所懸命書く。でも力みがなく、面白くて、頭も心もよく動かされるなあ…と感心したのは、以前ちくま文庫版の『自分の仕事をつくる』に原研哉さんが添えてくれた

仕事というのは「就く」ものではなく
自分で「つくる」ものだったんだ、と分かった途端、
心の中に「!」がポンと生まれた。

だ。お見事。この帯はいま書店で見かけない。写真に撮っておけばよかった。

川内さんに話を戻すと、そのあと9月上旬に交わした個人的なインタビューの中でよくわかった「冒険家」としての彼女の特性も書きたいところだが、それは別の機会にしよう。この本にもよくあらわれているし。

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